当店の1周年記念と致しまして、展示即売会「島岡達三と濱田庄司 展」を開催いたします。
11:30〜18:00
(会期中も8(火)9(水)はお休みをいただきます)
島岡達三と濱田庄司 展に寄せて / ご挨拶
YAMADA MPD ART CLUB にとって重要なキーワードの一つに「民藝運動」があります。
柳宗悦・濱田庄司・河井寛次郎・富本憲吉・バーナードリーチ... もちろん全ての芸術が、工藝がそうですが、後の時代を生きる私達がその物に触れたときに感じる、 色濃く反映されたその時代の匂い。もしくは残り香のような物が何故か現在にピタッとはまる。
10 年後、20 年後の " 現在 " にピタっとはまる。
... 時代は変わり、また回る。
大正時代に生まれた民藝という思想は、機械化、また技術至上主義に対する " カウンターカルチャー " であったのではないかと想像します。
ある時代には " その感覚 " はロックンロールと名付けられたし、ポップアートと呼ばれた時もあった。 またある時代には " それ " を民藝と呼んだ。
職人や焼き物師、アーティスト達の魂のブルーズ。現在の中心とされる感覚に対する別角度からの解答。
それが、民藝と呼ばれた " その感覚 " であり、その思想こそが「民藝運動」なのでは無いだろうか。
そういう思いが私たちにはあります。
そんな民藝運動を推進した濱田庄司氏の弟子である島岡達三氏の焼物は、
その初めこそ民藝運動の骨太のエキスをたっぷりと含んでいます。
でもそれだけでは終わらない。
高度経済成長を迎え日本が発展して行くに従い、物事はより整頓されながらデザインが多様化して行く。
民藝がブームになり、浸透し、どんどんスピードを上げながら形式化して行く。
しかし、民藝運動を推進した作家達は形式化に抗いながら、形を変え、姿を変え、健康的な美しさを追求していきます。
過去の焼き増し、形式化は民藝とは程遠い物なのです。
島岡達三氏の焼物もまさにその時・その場所でしか生まれ得なかった"民藝"だと思うのです。
インターネットで全てが済む現代。
顔を見ずとも、匂いがせずとも、全てが完結する。
だからこそ、使い慣れるにつれ親しみが増すような健康的な美、ぬくもりが恋しくなる。
ずっとそこにあるはずなのに見逃されてしまった営みの喜びを思い出す。
島岡達三氏の都会的で洗練されていながらも、どこかホッとする和やかな焼物達。
ここに過去と未来を繋ぐ変革期を生きる私達との繋がりを感じずにいられないのです。
そして、民衆的工藝に美を見い出し、その美しさを自分の焼物に混ぜ込みながら
先駆者としての道を切り拓いて行った濱田庄司氏。
その焼物にある力強さと、私たちを見守るようなあたたかい眼差し。
私たちは今回集まった作品たちに、そんな喜びが宿っていると信じてやみません。
自分と同じ道を辿るのではなく、自らの美を見つけるよう島岡達三氏に教えたという濱田庄司氏。
2人の焼物を並べた時、師弟の笑っている顔が見える気がしました。
当店の1周年を記念して「 島岡達三と濱田庄司 展」を開催いたします。
どうぞお楽しみ下さい。
YAMADA MPD ART CLUB